愛車と住まう家
2024.11
3方を住宅に囲まれた住宅街に建つガレージ付きの住宅。
主要道路から少し離れているが、前面道路は車通りや人通りが多い。
施主のメインの要望として、「親戚や友人で集まることが多いため、大人数で集まることができる空間」と「年代ものの車とバイクを見ながらリビングでくつろぎたい」があった。
これらの条件から、道路側からの視線を遮る位置に単独でガレージを配置し、テラスを住宅棟とガレージで囲むような配置とした。
その効果により、車通りや人通りを気にせずくつろげるリビングテラスとなった。
和室の4枚引き戸も完全に引き込めるので、リビングと和室を一体で利用できる。それぞれの空間から軒の深くかかったテラスに出ることができるので、室内外一体で利用すれば大人数での集まりにも対応できる。
また来客者用として室内を介さずにテラスに入る動線を確保している。出入りするドアは格子の桟を斜めにして内外共に見えにくくしつつも、風と光は通す仕様としたことでテラス越しに室内に風と光も入ってくる。
今回、施主親族から玄関の向きや水回りの位置、仏壇の向きなど方位に関する要望も出たため、特に気をつけて間取りを決定した。
その他の細かい要望として、「玄関を広く」「キッチンを広く」「収納を多く」「天井を高く」があった。
昨今の資材高騰の影響もあったため、全ての要望を取り込みつつも、天井高さの低い部分や高い部分をあえてつくり、空間としてもコスト面でもメリハリをつけている。
勾配屋根のハイサイド窓も空気の流れをつくるため開け閉めのできる仕様とし、北側に向けて設けることで直接光が入ることなく間接的な柔らかい光に一日中包まれるようにした。
生活動線の面では、玄関を入ってSICとパントリーを通ってキッチンにたどり着ける動線の確保や、廊下からLDKの出入り口は1ヶ所の入り口に人が集中しない分散型の動線となるように3ヶ所の出入り口を設けた。また、キッチンから各水回りや物干し場の動線も短くすることで家事動線にも配慮している。
全体のインテリア計画としては、施主の要望で木の仕上げを最小限に抑えつつ、石目や質感を感じる仕上げを採用し、ホテルのようなラグジュアリーな仕様でまとめた。
リビングのTVをかける壁は重厚感のあるタイルを採用し、空間のアクセントとなるように計画した。
照明計画としては、ガレージ壁面沿いに照明器具を点在させることで、質感のある外壁に光があたり玄関へ誘導するような流れをつくっている。またリビングからテラス越しにガレージ内の車やバイクを見るときにテラスの照明器具の発光面が直接視界に入らない照明配置としている。人が集うリビングも発光面が直接見えにくい器具とすることで、長時間ゆっくりとくつろげる。
撮影:山本 隼也(Atelier Tete)